HSPをカミングアウトという違和感

HSPを周囲にカミングアウトしているか、というフレーズに違和感がありました。
それはなぜでしょう?

カミングアウトとは
 
自分が,社会一般に誤解や偏見を受けている(同性愛者などの)少数派の主義・立場であることを公表すること
引用:三省堂 大辞林
 
自分が秘密にしていたことを暴露すること、公にすることを指す表現。
引用:実用日本語表現辞典


違和感があるのは、HSPとは公表するようなことではない、という考えがあるからかもしれない。
わたしはHSPにとって大切なのは公表ではなく、説明だと考えています。


公表って、それを言うことによって、対応や認識を変える必要があるものが多いと思うのですよね。

身体は男性で心が女性なら「あ、この人は女性なのか」という認識に変わる。
病気なら、なにかあったときに適切な対応ができるよう知識を得ようという思考もうまれます。


でもHSPは病気ではなく、気質です。

自分の気質にHSPという名称があることは、極端な話、周りのひとは知っていても知らなくてもかまわないわけです。


名称がついていることで、「自分が悩んだり気にかかったりしていたことは、こういうことで、こういう名前がついてるのか」と自分自身の安心感には大きく影響します。

ある程度定義があることで、こういう気質なら、こういう場面ではこうしようといった自分をコントロールする上でも、大いに役にたちます。


だけど周囲との関係性において重要なのは、普段から「わたし」の説明をしているかだと思うのです。



先日、仕事で自分の近くがあまりにもガヤガヤとしすぎて、さらに地声が大きい人たちが集まってしまったものだから、途中で「あ、これはダメだ」となり、ささーっと離れました。

離れた先にいたひとに「ちょっと話し声にぐったりしてきたから、こっちきちゃいました~」と言ったら、「あらー敏感なのね」と。

お!と思ったので、「そうなんです、結構音に敏感で。自分に対してでなくても近くで大声で話続けられるとぐったりするんですよ~」と説明しました。


別にこのひとはHSPという名称は知りません。
わたしもこの時点でHSPと知ってほしい!と思うわけでもありません。

普段から誰かと話していて、自分の気質を伝えられるきっかけがあれば、意識して伝えているだけです。
「実はわたし、HSPという気質がありまして…」というあらたまった公表ではなく、日々話を続けた先に「で、こういう気質をHSPっていうんですよ」という説明があるイメージ。


だから、もし身近なひとへHSPをどう伝えたらいいのかわからないなら、カミングアウトだとかHSPの解説をしなければとか大きく考えすぎないで、自分の気質や、それが影響して不調になる場合もあることなどについて、ただ普通にゆっくりと会話をしてみてください。



お気遣いいただく、という言葉があります。

HSP気質を把握し、不調のときに配慮していただけることは、それはもうとてもありがたいことです。
でもお気遣いのこころを寄せるかどうかの(無意識の)判断は、相手しだい。

だからこそ、相手のお気遣いをいただけるような自分でいたい。

気遣いを求めるなら、まずはこちらが周りの人を信頼し、誠意を持って対応してこそだと、わたしは思っています。



ただし、家庭の影響で愛着障害アダルトチルドレン傾向のあるかたは、一足飛びにこういう考えかたが向いているとは限りません。
相手を信頼するためには、まずは愛着障害アダルトチルドレンからの回復が優先です。
そこは「信頼したいけどできない自分」を責めることなく、適切な心療内科やカウンセラーを頼ってくださいね。